蝦夷生計図説

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第2巻, 24ページ, タイトル:
土をならす事終りて、それより種を蒔なり、 是をチヤリパと称す、はすへて物の種を いひ、チヤリパは蒔事をいひて、種をまくといふ 事也、凡トイタの事、地の美悪をえらふと いへる事もミえす、又こやしなと用るといふ 事もなけれと、たゝこの種を蒔事のミ殊に 心を用ひて時節をかんかふる事也、その 時節といへるも、もとより暦といふ物もなけ れは、時日をいつの頃と定め置といふ事には あらす、唯ふりつミし雪の消行まゝ、山野 の草のおのつから生しぬるをうかゝひて 種を蒔の時節とはなす事也、 土を均す作業が終わると、それより種蒔きとなる。これを「チヤリパ」という。「」は種子一般を、「チヤリパ」は蒔くことを表し、合わせて種を蒔くことを意味する。全体的に見て、トイタの作業は、土地の美悪を選ぶということも確認されず、また肥料を用いるということもない。しかし、この作業、即ち種を蒔くことについてだけは、その時期をどうするかの判断に心を用いるのである。その時期であるが、もとより暦を持たないため、日時をいついつの頃とあらかじめ定めて置くわけではない。ただ降り積もった雪が消え行き、山野の草が自ずから芽吹いてくるのに接して、種を蒔く時節を見計らっているのである。
第6巻, 9ページ, タイトル:
アツトシを製するには、夷語にヲウといへる木の 皮を剥て、それを糸となし織事なり、またツキ シヤニといへる木の皮を用る事あれとも、衣に なしたるところ軟弱にして、久しく服用するに 堪さるゆへ、多くはヲビウの皮のミをもちゆる事也、 こゝに図したるところは、すはハちヲヒクの皮にして、 山中より剥来りしまゝのさまを録せるなり、是を アツカフと称する事は、すへてアツトシに織る木の 皮をさしてアツといひ、カプはたゝの木の皮の事 にて、アツの木の皮といふ事也、此ヲビウといへる木は 海辺の山にはすくなくして、多く沢山窮谷の中に あり、夷人これを尋ね求る事もつとも艱難の わさとせり、専ら厳寒積雪のころに至りて、山 中の遠路ことーーくに埋れ、高低崎嶇たるところも 平になり歩行なしやすき時をまちて深山に入り、 幾日となく山中に日をかさねて尋る事也、其外

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