蝦夷生計図説

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"シト": 4 件ヒット

第2巻, 31ページ, タイトル: ウフシトイの図
第2巻, 32ページ, タイトル:
是図は前にいへる如く、手に貝をつけてアユシ アマヽの穂をかるさま也、ウフシトイといへる事は、 ウブシは穂の事をいひ、トイは切る事をいひて、 穂をきるといふ事也、もとより自然に生し たる如くに作りたる事ゆへ、其たけの長短も ひとしからす、穂の熟する事もまた遅速の 不同ありて、残らす熟するをまちて収めん とするには、早く熟したる穂は実の落ち 散る事もあり、或は鳥なとのために喰ひ 尽さるゝ事ありて、其損失ことに多し、しかる ゆへに、大概に熟するを待て実のりに不同ある 事ハ論せすしてきりとる也、其きりとりし この図は、前述のように、手に貝をつけてアユシアママの穂を刈る様子である。ウフシトイというのは、「ウブシ」は穂を、「トイ」は「切る」を表し、合わせて「穂を切る」という意味である。もとより、自生同様に作ったものであるから、その丈の長短も等しくはない。穂の熟する速度もまちまちであり、残らず熟すのを待って収穫しようとした場合、早く熟した穂は実が落ちてしまうことも、あるいは鳥などにより食い尽くされることもあり、損失が少なくない。従って、大体熟するのを見計らって、その稔りの程度にばらつきがあることには構わず、切り取ってしまうのである。
第7巻, 11ページ, タイトル:
トンドは柱の事也、図に二種出せる事は、上 下の品あるゆへなり、上に図したるは岐頭の木に して、桁のくゝみに其まゝ岐頭のところを用る也、 是をイクシベトンドと称す、イクシベは岐頭の木を いひ、トンドは柱をいひて、岐頭の木の柱といふ事也、 是を下品の柱とす、下に図したるは常の柱にして、 桁のくゝみを筥の如くなして用る也、これをバロ ウシトンドと称す、バロは口をいひ、ウシは在るをいひて、 口のある柱といふ事なり、是を上品の柱とす、 すへて夷人の境、居家の製はその形ち大小広狭の たかひありて一ならすといへとも、柱の製はこの 二種に限る事なり、 ☆ トンドは柱のことである。二種類を図示したのは、上下の品があるためである。上に図示したのは頭が分かれた二股の木で、桁のくくみ?にそのまま二股のところを使うのである。これをイクシベトンドという。イクシベ【イク*シペ:ikuspe/柱】は二股の木をいい、トンド【トゥントゥ:tuntu/(大黒)柱】は柱のことで二股の木の柱ということである。これを下品の柱とする。 下に図示したのは通常の柱で、桁のくくみ?を丸い箱のようにして使うのである。これをバロウシトンドという。バロ【パロ:paro/その口】は口のことをいい、ウシ【ウ*シ:us/にある】は在るといって、口のある柱という意味である。これを上品の柱とする。総じてアイヌの人びとの国は、家の製法はその形、大小、広狭の違いがあって、同一ではないといっても、柱の製法はこの二種類に限られているのである。
第7巻, 16ページ, タイトル:
うち卑湿なるところに多く生するもの也、 二にハ藤葛を用ゆ、三には野蒲萄の皮をはきて其侭 用ゆ、藤葛を夷語に何といひしにや尋る事をわすれ たるゆへ、追て糺尋すへし、野蒲萄の皮はシトカフといへり、 シトは蒲萄をいひ、カフは皮をいふ也、此三種のうち草を なひたる縄と藤葛の二つは材木を結ひ合セ、屋のくミ たてをなすとふの事に用ひ、野蒲萄の皮ハ屋を葺に用 ゆる也、まれにハ前の二種を用て屋を葺事あれとも 腐る事すミやかにして便ならす、たゝ野蒲萄の皮のミハ ことに堅固にして、数年をふるといへとも朽腐する事なき ゆへに多くハ是のミを用る也、三種のさまのかハりたるは図を 見て知へし、屋を葺の草すへて五種あり、一つにハ 茅を用ひ、二にハ蘆を用ひ、三には笹の葉を用ひ、四にハ 木の皮を用ひ、五にハ草を用ゆ、此五種のうち多くハ草と茅 との二種を用る也、五種のもの各同しからさる事は、後の 居家全備の図に委しくミえたる故、別に図をあらはすに及ハす、 なかで土地が低くて湿気が多いところに 多くはえているのである。>   ふたつめは藤葛を使用する。みっつめは野葡萄の皮を剥いで使う。藤葛をアイヌ語で アイヌ語でなんというのか聞くのを忘れたので、改めて聞きただすことにしよう。野葡萄の皮はシトカフという。シト【ストゥ:sutu/ぶどうづる】は葡萄をいい、カフ【カ*プ:kap/皮】は皮をいうのである。この三種類のうち、草を綯った縄と藤葛のふたつは材木を結び合わせて家屋の組み立てをするなどのことに用い、野葡萄の皮は屋根を葺くのに用いるのである。まれには前のふたつ(草と藤葛)を使って屋根をふく事があるけれども腐ることが早いので都合がよいとはいえない。わずかに野葡萄の皮だけがとりわけ丈夫で、数年たっても朽ちたり腐ったりすることがないので、多くはこれだけを使うのである。三種類のようすの違いは図を見て理解してほしい。  屋根を葺く草はみんなで五種類ある。ひとつには茅を使い、ふたつには芦を使い、みっつめは笹の葉を使い、四つめは木の皮、いつつめは草を使う。このいつつのうち、多くは草と茅の二種類を用いるのである。この五種がおのおの同じでないことは後の「居家全備の図」に詳述したのでここではかくべつ図示はしない。

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