蝦夷生計図説

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"カヤ": 3 件ヒット

第5巻, 14ページ, タイトル:
夷語に是をカヤと称す、図の如くにキナを 用ひて作るなり、    キナは夷地に生る草にて作り、筵の如き もの也、委しくハ器財の部に見えたり 帆をカヤと称する事、其義いまたつま ひらかならす、追て考ふへし、 アイヌ語でこれをカヤと称する。図のようにキナをもちいて造るのである。     <註:キナは蝦夷地に生える草で作るむしろのようなものである。詳 しくは『器財の部』(これも欠けている)で説明してある>  帆をカヤと言うことの意味ははっきりとはわからない。追って考えることとしよう。
第5巻, 28ページ, タイトル:
詳らかならぬ事共多し、追て考ふ へし、此に出せる図は風の左りへ走るさま也、 艫の左右に縄を以て帆を繋き立て、アシナにてかぢを とり走る也、風の右に走んとすれは左右の 縄をくりかへ、帆を左にかたむけ風を請て 走るなり、夷語に是をホイボウチフといひ、 又バシテチフといひ、亦カヤウシチフといふ、ホイ ボウといふも、バシテといふも、皆走る事をいふ、 カヤウシはカヤは帆をいひ、ウシは立る事 をいひて、帆を立るといふ事、チフはいつれも 舟の事なれは、三つともに走る舟の事を いふなり、 つまびらかにできないことが多い。改めて考えることとしよう。  ここに出した図は、風の左の方へ航行するようすである。艫の左右に縄で帆を繋ぎ、アシナで梶をとって走るのである。風の右の方に走ろうとすれば、左右の縄をたぐり変えて帆を左に傾け、風をうけて走るのである。 アイヌ語でこれをホイボウチフといい、またバシテチフといい、あるいはカヤウシチフという。ホイボウというも、バシテというも、みな「走る」ことをいう。カヤウシとは、カヤは帆のことをいい、ウシは立るという意味で、「帆を立る」ということ、チフは舟のことだから、三つとも「走る舟」のことをいうのである。
第7巻, 29ページ, タイトル:
此図はシリキシナイの辺よりシラヲイの辺に 至るまての居家全備のさまにして、屋は茅を もて葺さる也、是をキキタイチセと称す、キは 茅をいひ、キタイは屋をいひ、チセは家をいひて、茅の 屋の家といふ事なり、前にしるせし如く、屋をふく にはさまーーのものあれとも、此辺の居家は専ら 茅と草との二種にかきりて用るなり、チセコツと いへるは其家をたつる地の形ちをいふ也、チセは家を いひ、コツは物の蹤跡をいふ、この図をならへ録せる事ハ、 総説にもいへる如く、居屋を製するの形ちはおほ よそ三種にかきれるゆへ、其三種のさまの見わけやす からんかためなり、後に図したる二種はミな此故と しるへし、 ☆ この図はシリキシナイのあたりからシラヲイのあたりまでの家の完備したすがたで、屋根は茅で葺いてある。これをキキタイチセという。キ【キ:ki/カヤ】は茅をいい、キタイ【キタイ:kitay/てっぺん、屋根】は屋根をいい、チセ【チセ:cise/家】は家をいうから茅の屋根の家ということである。前述のように屋根の葺き方にはさまざまなものがあるが、このあたりの家はもっぱら、茅と草の二種だけを使うのである。    チセコツというのは、その家を建てる敷地のかたちをいう。チセは家をいい、コツ【コッ:kot/跡、くぼみ】はものの あとかたをいう。この敷地の図を並べて記すのは総説でものべておいたように、家を造る際のかたちはだいたい三種類に限られるので、その三種類の形体を見分けやすくしようと考えたためである。後に図示した二種はミナこの理由によるのである。

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