蝦夷生計図説

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"カフ": 2 件ヒット

第6巻, 9ページ, タイトル:
アツトシを製するには、夷語にヲピウといへる木の 皮を剥て、それを糸となし織事なり、またツキ シヤニといへる木の皮を用る事あれとも、衣に なしたるところ軟弱にして、久しく服用するに 堪さるゆへ、多くはヲビウの皮のミをもちゆる事也、 こゝに図したるところは、すはハちヲヒクの皮にして、 山中より剥来りしまゝのさまを録せるなり、是を アツカフと称する事は、すへてアツトシに織る木の 皮をさしてアツといひ、カプはたゝの木の皮の事 にて、アツの木の皮といふ事也、此ヲビウといへる木は 海辺の山にはすくなくして、多く沢山窮谷の中に あり、夷人これを尋ね求る事もつとも艱難の わさとせり、専ら厳寒積雪のころに至りて、山 中の遠路ことーーくに埋れ、高低崎嶇たるところも 平になり歩行なしやすき時をまちて深山に入り、 幾日となく山中に日をかさねて尋る事也、其外
第7巻, 16ページ, タイトル:
うち卑湿なるところに多く生するもの也、 二にハ藤葛を用ゆ、三には野蒲萄の皮をはきて其侭 用ゆ、藤葛を夷語に何といひしにや尋る事をわすれ たるゆへ、追て糺尋すへし、野蒲萄の皮はシトカフといへり、 シトは蒲萄をいひ、カフは皮をいふ也、此三種のうち草を なひたる縄と藤葛の二つは材木を結ひ合セ、屋のくミ たてをなすとふの事に用ひ、野蒲萄の皮ハ屋を葺に用 ゆる也、まれにハ前の二種を用て屋を葺事あれとも 腐る事すミやかにして便ならす、たゝ野蒲萄の皮のミハ ことに堅固にして、数年をふるといへとも朽腐する事なき ゆへに多くハ是のミを用る也、三種のさまのかハりたるは図を 見て知へし、屋を葺の草すへて五種あり、一つにハ 茅を用ひ、二にハ蘆を用ひ、三には笹の葉を用ひ、四にハ 木の皮を用ひ、五にハ草を用ゆ、此五種のうち多くハ草と茅 との二種を用る也、五種のもの各同しからさる事は、後の 居家全備の図に委しくミえたる故、別に図をあらはすに及ハす、 なかで土地が低くて湿気が多いところに 多くはえているのである。>   ふたつめは藤葛を使用する。みっつめは野葡萄の皮を剥いで使う。藤葛をアイヌ語で アイヌ語でなんというのか聞くのを忘れたので、改めて聞きただすことにしよう。野葡萄の皮はシトカフという。シト【ストゥ:sutu/ぶどうづる】は葡萄をいい、カフ【カ*プ:kap/皮】は皮をいうのである。この三種類のうち、草を綯った縄と藤葛のふたつは材木を結び合わせて家屋の組み立てをするなどのことに用い、野葡萄の皮は屋根を葺くのに用いるのである。まれには前のふたつ(草と藤葛)を使って屋根をふく事があるけれども腐ることが早いので都合がよいとはいえない。わずかに野葡萄の皮だけがとりわけ丈夫で、数年たっても朽ちたり腐ったりすることがないので、多くはこれだけを使うのである。三種類のようすの違いは図を見て理解してほしい。  屋根を葺く草はみんなで五種類ある。ひとつには茅を使い、ふたつには芦を使い、みっつめは笹の葉を使い、四つめは木の皮、いつつめは草を使う。このいつつのうち、多くは草と茅の二種類を用いるのである。この五種がおのおの同じでないことは後の「居家全備の図」に詳述したのでここではかくべつ図示はしない。

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