蝦夷生計図説

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"イタシ": 6 件ヒット

第4巻, 19ページ, タイトル:
これは敷の初めて成就したる処也、 これより次第に後の図に出せる板等を あつめて舟の製作にかゝる也、此敷は 夷語にイタシヤキチフと称して、丸木舟と 同しさましたれとも、また説ある事なり、 後の川を乗る舟とならへ図して委しく 論したり、合せ見るへし、  これは船体がはじめてできあがったところである。これからだんだんあとのほうの図で示したいたなどを集めて舟の製作に取りかかるのである。船体はアイヌ語でイタシヤキチフといって、丸木舟と同じ形をしているけれども、さらに説明することがある。のちに川舟とともに図示して詳しく説明してあるのであわせて見てほしい。 
第5巻, 35ページ, タイトル: イタシヤキチプの図 
第5巻, 36ページ, タイトル:
是は前に出せる舟敷の事也、夷語に イタシヤキチプと称するは、イタは板をいひ、シヤ キは無きをいひ、チプは舟の事にて、板なき 舟といふ事也、もと舩の敷なるをかくいふ ものは、丸木をくりたるまゝにて左右の板を 付す、夷人河を乗るところの舟とことならさる故、 時によりては其まゝにて川を乗る 事も有ゆへにかくはいえるなり、万葉集に 棚なし小舟といへるはこれなるにや、今に 至りて舩工の語に、敷より上に付る板を 棚板といふ、さらは無棚小舟は棚板なき舟と いふの心なるへし、今 本邦の舩の これは前述した船体のことである。アイヌ語でイタシヤキチプというのは、イタは板のことをいい、シヤキは無いということ、チプは舟のことであって、「板の無い舟」ということである。もともと船体であるものをこのようにいうのは、丸木を刳りぬいたままで左右の板をつけず、アイヌの人びとが川で用いるところの舟と変らないし、場合によっては、そのままで川で乗ることもあるのでこのようにいうのである。 万葉集に「棚なし小舟」というのはこれではなかろうか。現在の船大工のことばに、船体より上につける板を棚板という。それならば「無棚小舟」は「棚板なき舟」といういみであろう。今、日本の船の
第5巻, 37ページ, タイトル:
製作にかゝる敷の法を用ひさるはいつの頃より にか有けん、カシキヲモキなといふ事の 舩工ともの製作に初りしより、    カシキといへるもヲモキといへるも、少し つゝ其製にかハりたる事ハあれとも、 格別にたかふところは非す、いつれも敷を 厚き板にて作り、それに左右の板を釘 にて固くとちつけて、本文にいへるイタシ ヤキチプの如くになし、それより上に左右の 板を次第に付仕立る也、此製至て堅固也、 今の舩工の用る敷の法ミなこれ也、 其製の堅固なるを利として専らそれのミを 製作に、このような船体を用いなくなったのはいつの頃からであろうか。 カシキ、ヲモキなどというものが船大工たちの製作にはじまってから、    <註:カシキというものも、ヲモキというものも、少しずつその製法に 変化はあるけれども、格別の違いはない。いずれも船体を厚い板で 作り、それに左右の板を釘で固く綴じつけて、本文で述べたイタ シヤキチプのようにして、それより上に左右の板をだんだんに付 けていって仕立てるのである。この製法はとても堅固である。 今の船大工が用いる船体の製法はみなこの方式である。> その製法の堅固であることを利として専らその製法ばかりを
第5巻, 38ページ, タイトル:
用ひしより、終に其法をは失ひし成へし、 今奥羽の両国松前とふにてハ、なを其法を 伝へて猟舩にはことーーく敷に右のイタシヤキ チプを用ゆ、是をムダマと称す、ムタマはムタナの 転語にして、とりもなをさす棚板なき舟といふ心也 、 其敷に左右の板をつけ、夷人の舟と ひとしく仕立たるをモチフと称す、モチフは モウイヨツプの略にして、舟の事也、凡そ夷地 にしては舟の事をチプといふ事よのつねな れとも、その実はモウイヨツプといへるが舟の 実称にして、チブといへるは略していふの詞なる よし、老人の夷はいひ伝ふる事也、モウは乗る 用いてから、ついに「無棚小舟」の製法は伝承されなくなったのである。今、奥羽の両国と松前などでは、まだその方法を伝えていて、漁船にはことごとく船体に右のイタシヤキチプを用いていて、これをムダマと称している。ムダマはムタナの転語であって、とりもなおさず「棚板なき舟」という意味である。 船体に左右の板をつけ、アイヌの人びとの舟と同様に作ったものをモチフという。モチフは「モウイヨツプ」の略語であって舟のことである。そもそも蝦夷地においては舟のことをチプということがあたりまえであるけれども、その実は「モウイヨツプ」というのが舟の実称であって、チプというのは略していうことばであるとは、老人のアイヌのいい伝えることである。モウは乗る
第5巻, 42ページ, タイトル:
これ俗にいふ丸木舟の事也、製作すること イタシヤキチプとことなる事なし、形ちの小し くたかひたるハ、図を見て考ふへし、二種の中、 前の図は流の緩き川ならひに沼とふを乗る 舟なり、後の図は急流の川をのり、または 川に格別の高底ありて水の落す事飛泉の 如くなるところをさかさのほる事とふある時、 水の入らさるかために、舟の舳に板をとち付たるさまなり、 これは俗にいふ丸木舟のことである。製作する方法はイタシヤキチプとことなることはない。形が少しく違っていることは、図を見て考えてほしい。二種類の中、前の図は流が緩い川ならひに沼などで乗る舟である。後の図は急流の川で乗ったり、または川にとくに高低があって、水が落ること飛泉のようなところをさかのぼることなどがある時、舟に水が入らないようにするために、舳に板を綴じつけたところである。

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