蝦夷生計図説

ウカルの図

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ウカルの図

たる也、是を行ふ事、たゝに刑罰の事のミとも
きこえす、時によりてハ其者を戒め慎ましめんか
ために行ふ事もありとミゆる也、後にしるせる
六種の法を見て知へし、

これを行ふの法、すへて六つあり、其一つは前に
いふ如く、悪行をなしたるものを打て其罪を督す也、
二つにハ夷人の法に、喧嘩争闘の事あれハ、負たる
者のかたよりあやまりの証として宝器を出す也、
是をツクノイと称す、

   此宝器といへるは種類甚多して事長き故に、
こゝにしるさす、委しくハ宝器の部に見へたり、

其ツクノイを出すへき時にあたりて、ウカルの法を
行ひ拷掠する事あれハ、宝器を出すに及ハすして
其罪を免す事也、三つには人の変死する事有
とき、其子たる者に行ふ事あり、是ハ非業の死なる
ゆへ其家の凶事なりとて、其子を拷掠して恐懽

たものである。これを行なうことはただ刑罰のため
だけとも解釈できない。時によってはその者を戒めてつつしませるために行なうこ
ともあるらしい。後述する六種の法を見て考えてほしい>

 ウカルを行なうしきたりにはみんなで六種類ある。
 そのひとつは前述のように、悪いことをしたものを打ってその罪をただすことである。ふたつめはアイヌの人びとのおきてに、けんかや争い事があれば、負けた方からお詫びのしるしとして宝物を差し出すことがある。これをツグノイ【トゥクナイ?:tukunay?/償い】という。

    <註:この宝物というのは種類がとても多く、説明すると長くなるのでここには述べな
い。詳しくは「宝器の部」に記してあるので参照されよ。>

 そのツグノイを差し出すに際して、ウカルを行なってむち打たれることがあれば、宝物を差し出す必要はなくして、その罪が許されるのである。みっつめは、人が変死したときにその子に行なうことがある。変死というのは非業の死なので、その家の凶事であるから、その子をむち打って怖れ