蝦夷生計図説

チセチクニバツカリの図

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チセチクニバツカリの図

ここに図したるところは、家を造るへき地をかんかへ
さためたるうへ、山中に入りて材木を伐り出し、梁・柱
とふのものを初め、用るところにしたかひて長短を
はかり、きりそろゆるさまなり、チセチクニパツカリと
いへるは、チセは家をいひ、チクニは木をいひ、パツカリは
度る事にて、家の木を度るといふ事也、其度ると
いへるも、夷人の境すへて寸尺の法なけれは、たゝ手と
指とにて長短を度る也、手をもて度るをチムといひ、
中指にてはかるをモウマケといひ、食指にてはかるを
モウサといふ也、此語の解未いつれも詳ならす、
追てかんかふへし、是はたゝ木をはかる事のミに
限るにあらす、いつれの物にても長短をはかるにハ
同しく手と指とを用てはかる事なり、

☆ここに図示したところのものは、家を造る土地を考えて決めた上で、山中に入って材木を伐り出し、梁や柱などのものをはじめ、使うところの場所場所に従って長短を計って切り揃えているようすである。
チセチクニパツカリというのは、チセ【チセ:cise/家】は家の意味、チクニ【チクニ:cikuni/木】は木の意味、パツカリ【パカリ:pakari/計る】は計るという意味であって、家の木を測るということである。測るといっても、アイヌの国には総じて度量衡の規則などということがないため、もっぱら手と指とで長短を測るのである。手で測ることをチム【テ*ム:tem/両手を伸ばした長さ(1尋)】といい、中指で測ることをモウマケ【●?】といい、食指で測ることをモウサ【モウォ?:/人差し指と親指を広げた長さ】という。これらのことばの解釈はいまだどれも定かではない。改めて考えることにしよう。
 これはただ木を測るだけではなく、どんなものでも長短を測るには同じように手と指を持って測るのである。