蝦夷生計図説

居家経営の総説

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居家経営の総説

家を焚焼せる事ハ甚意味のある事にて、委し
くハ葬送の部にミえたり、

居家の製、其かたちのかハりたる事、東地にしてハ南方
シリキシナイの辺より極北クナシリ島に至るまての間、凡
三種あり、其うちすこしつゝハ大小広狭のたかひあれとも、
先つは右三種のかたちをはなれさる也、三種のかたちハ後の
居家全備の図に其地形をあハせて委しく録せり、

   但し、居家のかたちハ三種の外に出すといへとも、其製作の
始末は所によりて同しからぬ事も有也、此書に図したる
ところはシリキシナイの辺よりシラヲイ辺まての製作
の始末なり、シラヲイ辺よりクナシリ島に至るまての
製作は、また少しくたかひたるところ有といへとも、図に
わかちてあらハすへき程の事にあらさるゆへ、略して録せす、

たゝ屋を葺にいたりては茅を用るあり、草を用るあり、
あるハ竹の葉を用ひ、あるハ木の皮を用るとふのたかひ有て、
其製一ならす、いつれも後に出せる図を見てしるへし、

家を燃やすことはとりわけ意味があること
で、そのことは「葬送の部」に詳述してある。>

☆家の造りかた、そのかたちが変化すること、東蝦夷地にあっては南はシリキシナイのあたりから、最も北はクナシリ島に至るまでの間に、おおよそ三種類ある。そのうち、少しづつは大小や広い狭いの違いはあっても、まず大体は右にいう三種類の形から離れることはない。三種のかたちについては後に出す「居家全備の図」に敷地の形をあわせてくわしく記録してある。

  <註:ただし、家のかたちは三種類のほかに出しているけれども、その造りかたの始末は場
所によっては同じではないこともある。この本で図示したものはシリキシナイのあた
りからシラヲイあたりまでの製作技法の始末である。シラヲイあたりからクナシリ島
に至るまでの技法は、またちょっと違っているところがあるけれども、図をそれぞれ
区別して示すほどのことでもないので略して記さない。>

ただ、屋根を葺く技法は、茅を使う場合があり、草を使う場合があり、あるいは竹の葉を使い、あるいは木の皮をつかうなどの違いがあって、その製作技法は同一ではない。そのいずれも後出の図をみて理解してほしい。