蝦夷生計図説

居家経営の総説

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居家経営の総説

よろつの事不便なる地にてもえらふに及はす、
其所を住居つくるへき場所とさため、それより山中
に入りて材木を伐出し、次第に造営する事なり、
   山中に入り材木を伐出す事は、山神を祭るより
初め、舟の部に委しく見えたり、

家を外にかへ移す事は、其家の主人死するか、あるは
主人にあらされとも変死する者あるか、其外すへて其家の
うち、又は其家のかたハらにて凶怪の事とふあるときは、
そのまゝ家を焚焼して外の地の潔き所に移て
住居す、また凶怪の事あるにハあらて、たゝ年久しく
住たるゆへ破壊せるに至りても、其所にて造りかふると
いふ事はあらす、多くは外の地に改めたつるなり、

   但し、凶怪の事にあらすして造りかふる時は、ことにより
其まゝ旧居のあとにたつる事もあり、又その破壊し
たる家の古き材木をもとり用ひて、 
本邦にいはゝ修復なといふ如くなる事もある也、

万事不便なところであっても、選ばないということはなく、そこを家を造るべき場所と決めて、それから山中に入って材木を伐りだして家造りをはじめるのである。
  <註:山中に入って材木を伐りだすことは、山の神を祀ることからはじめるが、「舟の部」で
詳しく述べてある。>

☆ 家をほかに替え移ることは、その家の主人が死んだときか、あるいは主人ではなくとも変死したものがあるとか、そのほか総じて、その家のうちやそばでまがまがしいことなどあったときには、そのまま家を燃やして、ほかの清浄な場所に移って住まいするのである。 
   またまがまがしいことではなく、ただ長年住んでいたため老朽化して壊さざるをえなくな
っても、そのところで造りかえるということではなく、多くの場合、ほかの場所に改めて建
てるのである。

<註:ただし、まがまがしいことがあって建てかえるのではないときは、場合によっては
そのまま旧居のあとに建てることもある。また、壊した家の古材を用いて、わが国で
いう修復などというようなこともある。