蝦夷生計図説

居家経営の総説

  • 45
  • 44
  • 43
  • 42
  • 41
  • 40
  • 39
  • 38
  • 37
  • 36
  • 35
  • 34
  • 33
  • 32
  • 31
  • 30
  • 29
  • 28
  • 27
  • 26
  • 25
  • 24
  • 23
  • 22
  • 21
  • 20
  • 19
  • 18
  • 17
  • 16
  • 15
  • 14
  • 13
  • 12
  • 11
  • 10
  • 9
  • 8
  • 7
  • 6
  • 5
  • 4
  • 3
  • 2
  • 1

居家経営の総説

居家経営の総説

凡夷人の境には郷里村邑の界といふ事もあらす、
然るゆへに住居をなすところといへとも人々自己の
地とさたまりたる事なし、いつれの地にても
心にまかせて住居をかまへ、又外に転し移る事も
思ひーー、いつれの地になりとも住居をかふるなり、た
ゝ家を造るに至ては殊に法ある事多し、

まつ家を造らんとすれハ、其処の地の善悪を
かんかふるをもて造営の第一とす、地の善悪といへ
るも猟業ならひに水草とふのたよりよき地を
えらふなといふ事にはあらす、其地にて古より人の
変死なとにてもありしか、あるは人の屍なと埋ミし
事にてもなきか、其外すへて凶怪の事とふありて
清浄ならさる事にてもなかりしにやといふ事をよくーー
たゝしきハめ、いよーー何のさはりもなき時ハ、其外は

居家経営の総説

一般にアイヌの人びとの住む土地には、生まれ育ったところとか村里の堺ということもなく、だから住まいをかまえるところといっても、人びとそれぞれの所有する土地と決まったことがない。。どの土地であっても、心のままに住居をつくりまた外の土地に移転することも思いのままで、どこの土地であっても住居をかえるのである。
  ただ、家を造ることに及んでは、とくにきまりあることが多い。

まず家を造ろうとすれば、それを建てるところの土地の善悪を判断することをもって家造りの第一とする。
  地の善悪というのも狩猟などのなりわいや水草などの便利がいい地を選ぶということではない。その地において昔、人が変死したことはないか、あるいは人の死体を埋めたことはなかったか、そのほか、総じてまがまがしいことやあやしいことなどがあって、清らかではないことなどもなかったかということを、よくよく聞きただして、いよいよ何のさわりもないとなったときには、そのほかは