蝦夷生計図説

アツヲンの図 

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アツヲンの図 

此図は剥来りしヲビウの皮を糸になさんとして、先温泉に
ひたしやはらかになすさま也、図のことく温泉の所に持行て、
浅瀬に皮を□し、うへに木をのせ流れさるよふになし、日数
四五日程もつけ置キ、其皮のよくやハらかになるを待て温泉より
出し、湯のあかをとくと洗ひ落して日に□し、是をアツヲン
といふ、アツはアツトシを織る木の皮をいひ、ヲンはやハらかになる事
をいひて、アツやハらかに成といふ事也、かくのことく温泉にひたし
日にさらして糸にさく計になしたるを、いつれの夷人も力の及ふ
限りハ貯へ置事、糧食の備をなし置と異なる事あらす、其皮を
やハらかになさんとするに、もし温泉なき地にてハ、止事を得すし
て常の池沼とふに□す事あれとも、皮のやハらきあしきゆへ
多くは是をなさす、遠方の地といへとも必す温泉の有
所に持行てひたす也、其辛苦せる事思ひはかるへし、すへて
皮を剥あつむるよりこれまてのわさハ夷人男女のわかち
なく、ともーーに為すといへとも、糸につくるより後の事ハ
女子の業にかきる事なり、