蝦夷生計図説

あかとりの図 

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あかとりの図 


夷語にこれをワツカケプと称す、ワツカは水をいひ、
ケはとる事をいひ、フは器をいふ、水を取器といふ
事也、奥羽の海辺ならひに松前とふにて、
右の形ちしたるあかとりをへけと称す、是を
夷語に解するに、ヘは水をいひ、ケはとる事
にて、水とりといふ事也、水を夷語にヘとも
いひ、ワツカともいふ、今の夷人は専らワツカとのミいひて、ヘといふも
のは稀也、されとも二つのうちヘと称するは夷人の古語にして、
ワツカと称するは近き頃よりのことはなるよし、
老年の夷人はいひ伝へたり、是とふの事、
夷地にしてハ其古言を失ひ、奥羽ならひに
松前の地にかえつて夷人の古言を伝へ
たるなと、古は奥羽の地の夷境に没して
ありし事を証すへきにや、

アイヌ語でこれをワツカケプと称する。ワツカとは水のことをいい、ケはとるということをいい、フは物をいう。「水を取る物=あかとり」ということである。
 奥羽の沿岸ならびに松前などでは図のような形のあかとりを「へけ」という。これをアイヌ語で解釈するとヘは水をいい、ケはとるということで「水取り」ということである。水をアイヌ語で「ヘ」といい、「ワッカ」ともいう。今のアイヌの人びとはワッカとのみいっていて、ヘというのは稀になっている。しかし、ふたつのことばのうち「ヘ」というのはアイヌ語の古語であって、ワッカというのは近年のことばであるとは老アイヌのいうことである。
 このように、蝦夷地ではその古語を失い、奥羽や
松前の地でかえってアイヌ語の古語が残っていることなどは、昔、奥羽の地は蝦夷の中にあったことを証明しているのではないだろうか。