蝦夷生計図説

舟の製作を終りて後、舟神を祭る図 

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舟の製作を終りて後、舟神を祭る図 

舟の製作が完全に終ってから、図のようにイナヲを舳に立てて、舟神を祭るのである。舟神は、今、日本の船乗りのことばで舟霊(ふなだま)というものと同様である。それを祈ることばに「チプカシケタウエンアンベイシヤマヒリカノイカシコレ」という。
チプは舟をいい、カシケタは上にということ、ウエンは悪いことをいい、アンベは有ることをいい、イシヤマは無いということ、ヒリカは良いということ、イカシは守ることをいい、コレは賜れということで、「舟の上で悪いことがあることなくよく守り賜え」ということである。この舟神に祈ることはただ、船上での安全を祈願するだけではない。新しく作る
舟に神霊を招き移すといふ心もありて、
ことーーく意味ある事也、委しくは神
祈りの部に見えたり、

   これにて先舟の製作は全く備る也、
これより後に出せる器具はミな舟中に
もちゆるところの物にして、此しなーー
とゝのひてより海上をはしる事も乗る事も
なる也、くハしくは後の図を見てしるへし、

舟の製作全く整ひて後、図の如くイナヲ
を舳に立て舟神を祭るなり、舟神は今  
本邦舩師の語に舟霊といふか如し、其
祈る詞に、チプカシケタウエンアンベイシヤマヒリ
カノイカシコレと唱ふ、チプは舟をいひ、カシケタは
上にといふ事、ウエンは悪き事をいひ、アンベは
有る事をいひ、イシヤマは無き事をいひ、
ヒリカはよきをいひ、イカシは守護をいひ、
コレは賜れといふ事にて、舟の上悪き事
ある事なくよく守護を賜へといふ
事なり、此舟神を祈る事ハ、唯舟上の
安穏を願ふのミにあらす、新たに造れる
舟に神霊を招き移すという心でもあって、すべて意味のあることなのである。詳しくは本書の『神祈りの部』(この部門はない)で述べてある。

これで舟の製作は完了する。こののちにだした器具はみな舟の中で用いるもので、この品々がそろってから海上を走ることも乗ることもできるのである。詳しくはのちの図を見てほしい。