蝦夷生計図説

ウフシトイの図

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ウフシトイの図

是図は前にいへる如く、手に貝をつけてアユシ
アマヽの穂をかるさま也、ウフシトイといへる事は、
ウブシは穂の事をいひ、トイは切る事をいひて、
穂をきるといふ事也、もとより自然に生し
たる如くに作りたる事ゆへ、其たけの長短も
ひとしからす、穂の熟する事もまた遅速の
不同ありて、残らす熟するをまちて収めん
とするには、早く熟したる穂は実の落ち
散る事もあり、或は鳥なとのために喰ひ
尽さるゝ事ありて、其損失ことに多し、しかる
ゆへに、大概に熟するを待て実のりに不同ある
事ハ論せすしてきりとる也、其きりとりし
から及ひ根とふはそのまゝにすて置く也、
来年に至りてまた其地に植んとする時ハ、
それを抜去りて焼すつる也、
   此穂をきるの時は、おほよそ八月の半より九月の
半にもあたるへし、

この図は、前述のように、手に貝をつけてアユシアママの穂を刈る様子である。ウフシトイというのは、「ウブシ」は穂を、「トイ」は「切る」を表し、合わせて「穂を切る」という意味である。もとより、自生同様に作ったものであるから、その丈の長短も等しくはない。穂の熟する速度もまちまちであり、残らず熟すのを待って収穫しようとした場合、早く熟した穂は実が落ちてしまうことも、あるいは鳥などにより食い尽くされることもあり、損失が少なくない。従って、大体熟するのを見計らって、その稔りの程度にばらつきがあることには構わず、切り取ってしまうのである。切り取った殻及び根などは、そのまま捨て置かれる。来年になってその場所に植えようとする場合は、これらを抜き去って焼き捨てるのである。
 *穂を切る季節は、凡そ八月の半ばから九月の半ばにあたるようである。