蝦夷生計図説

イコシラツケイナヲの図

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イコシラツケイナヲの図

イコシは守りをいひ、ラツケは物を掛け置く事を
いひて、守りを懸け置くイナヲといふ事なり、

   守りといへるは夷人の身を守護するところの
宝器をいふ也、その宝器はなを 本邦の俗に
小児の守り袋なといはんか如く、身の守りになる
よしいひて、殊の外に尊ふ事也、委しくハ宝器の
部にミえたり、

時ありて此イナヲに其宝器をかけ、住居のヌシヤ
サンにかさり置て祈る事のある也、其祈る事は
ことーーく意味深きよしなれは、夷人の甚秘する
事にて、人にかたらさるゆへ、其義いまた詳ならす、
追て探索の上録すへし、

 「イコシ」はお守りを、「ラツケ」は物を掛けて置くことを表わし、合わせて「お守りを掛けて置くイナヲ」という意味である。

* お守りというのは、アイヌの人々の身を守護してくれる宝器のことである。その宝器は、わが国で俗に小児の守り袋などのように、身の守りになるといって、大変尊ばれるものである。詳しくは、本稿「宝器の部」に記してある。

時折、このイナヲにその宝器を掛け、住居に附属するヌシヤサンに飾り置いて祈ることがある。何を祈っているかについては、その悉くについて深い意味があるとのことで、アイヌの人々は甚だ秘して他人には語らないため、いまだ詳らかにすることはできない。追って探索の上記すこととしたい。