蝦夷生計図説

シユトイナヲの図

  • 38
  • 37
  • 36
  • 35
  • 34
  • 33
  • 32
  • 31
  • 30
  • 29
  • 28
  • 27
  • 26
  • 25
  • 24
  • 23
  • 22
  • 21
  • 20
  • 19
  • 18
  • 17
  • 16
  • 15
  • 14
  • 13
  • 12
  • 11
  • 10
  • 9
  • 8
  • 7
  • 6
  • 5
  • 4
  • 3
  • 2
  • 1

シユトイナヲの図

シユトといへるは、もと杖の名にして、ウカルを行ふ
時にもちゆる物也、

   ウカルといふは、夷人の俗罪を犯したる者あれハ、
それをむちうつ事のある也、シユトは其むち
うつ杖の事をいふ、委しくは、ウカルの部にミえたり、
此イナヲを製するには、まつ木をシユトの形ちの
如くにして、それより次第に削り立る事をなすに
よりて、かくは名つけし也、 本邦の語に
罪人をうつ杖の事をしもとゝいふ、さらはシユトは
しもとの転語にして、これ又 本邦の語に
通するにや、このイナヲはいつれの神を祈るにも
通し用ゆる事也、

「シユト」とは、もと杖の意味であり、ウカル( )を行なう時に用いられる。

* ウカルといって、アイヌの人々のなかで俗罪を犯した者がいた場合、その者を鞭打つことがある。シユトは、その際に用いられる杖のことをいう。詳しくは、本稿「ウカルの部」に記してある。このイナヲを作製するときに、まず木をシユトの形のように加工してから順次削っていくことにより、こう名づけられたのである。わが国の言葉で罪人を打つ杖のことを「しもと」という。つまり、「シユト」は「しもと」の転語であり、これまたわが国の言葉と通じていることになろう。なお、このイナヲはどの神を祈るにも共通して用いられるものである。