蝦夷生計図説

イナヲを製する図

  • 38
  • 37
  • 36
  • 35
  • 34
  • 33
  • 32
  • 31
  • 30
  • 29
  • 28
  • 27
  • 26
  • 25
  • 24
  • 23
  • 22
  • 21
  • 20
  • 19
  • 18
  • 17
  • 16
  • 15
  • 14
  • 13
  • 12
  • 11
  • 10
  • 9
  • 8
  • 7
  • 6
  • 5
  • 4
  • 3
  • 2
  • 1

イナヲを製する図

する事也、是を製せんとすれは、潔斎ともいゝつ
へきさまに、まつ其身を慎ミいさきよくす
る事をなして、それより図の如くに製する也、

   潔斎ともいふへき事は夷語にイコイコイと
いひて、身を慎ミいさきよくする事のある也、委し
くはカモイノミの部にミえたり、

是を製するに、小刀よふの器も、よのつねのは
用ひす、別にイナヲを製するためにたくハへ置
たるを取りいてゝ用ゆ、イナヲに為すへき木ハ何の
木とさたまりたるにもあらねと、いつれ質の白く
して潔き木にあらされハ用ひす、其の削り出し
たる木のくすといへとも妄にとりすつる事は

位置づけられている。
イナヲを作製するにあたっては、まるで潔斎でもするかのような様子で、その身を慎み清める行ないをしたうえで、図のような作業にかかるのである。

 *潔斎でもするかのような行為のことについてであるが、彼らの言葉でイコイコイという、身を慎み清める行ないがある。イコイコイについての詳細は、本稿「カモイノミの部」を参照されたい。

 イナヲを作製するにあたっては、日常用いている小刀は使用されない。特別にイナヲ作成用としてしまってあるものを取り出して用いるのである。イナヲとなる樹木の種類についてであるが、定まった決まりがあるわけではない。ただし、どんな種類であっても材質が白く清潔な木でなければ用いられることはない。こうした木からイナヲを作製する過程で生じた削りくずといえども、妄りに捨ててしまうことは